風を掬う者(先行版)

人間の愚かさ、そして死をテーマにしたオリジナル小説

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壱章/人斬り/挿話肆/とばっちりな男

時刻は五つ半を過ぎた頃であろうか。
新撰組の屯所であった前川邸の廊下に
一際大柄な男が一人で腰を下ろし、
庭の方を向いて目をつむり、
微動だにせず、ただそこに存在していた。
そこに一人の男が通り掛かる。
「天竜、珍しいな」
「すぐに出て行くさ」
天竜と呼ばれた一際大柄な男はそう答えると、
ゆっくりと目を開け、続けざまに尋ねた。
「それより、虎三郎はどうした?」
「大丈夫さ。あいつが何かしたわけじゃねぇからな」
「そうか」
「何かしたのはお前の方だろ。
おかげで俺までえらい目に遇ったぜ」
「うるせぇ!俺は人を斬るのが仕事なんだよ!
むしろ俺の前に奴等をよこした
一に責任があるんじゃねぇのかい!?」
「近藤さんみたいな事言うんじゃねぇよ」
そう言いながら一と呼ばれた男、
斉藤一は立ち去って行った。
半刻もしないうちに、また一人男が通り掛かる。
そして天竜の存在に気づき、
「あ、天竜さん。この度はどうもありがとうございました」
と膝を折り、額を床につけるように丁寧に礼を述べた。
天竜は立ち上がりながら言う。
「頭、上げな。悪いのは俺の方なんだからよ」
「いえ、天竜さんが近藤さんに進言してくれなければ、
私は、もう、」
「それぐらいにしておきな。
それよりも奴等が人斬り以蔵の情報を握っていたとはなぁ」
左手で右腕にある無数の傷を掻きながら、天竜は言った。
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  1. 2016/03/02(水) 13:06:34|
  2. 壱章/人斬り
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