風を掬う者(先行版)

人間の愚かさ、そして死をテーマにしたオリジナル小説

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弐章/英雄/挿話拾壱/終わり無き平行線

氷の大陸、露衣土城。
三年程前に統一戦争も終わり、露衣土帝国は、
各地に散在する反抗勢力の掃討に力を入れていた。
露衣土はいつものように、
城にある自室に一人で篭っていた。
その部屋に突然、一人の男が入って来る。
「露衣土様、炮炎と名乗る者が面会を求めているのですが、
どのようにいたしましょうか?」
「ほほう、よく此処まで来れたもんだ。構わん。通せ」
「畏まりました」
そう応えると、男はすぐに部屋を出て立ち去る。
暫くすると、先程の男がもう一人別の男を連れて
露衣土の部屋へとやって来た。
「露衣土様、お連れ致しました」
「構わん。下がってよい」
「畏まりました」
別の男を連れて来た男は再び部屋を後にする。
「久しぶりだな」
露衣土が残った男に声を掛けた。
「そうだな」
男が応える。
「何年振りになるんだ?」
「忘れちまったな」
「で、一体今更、何しに此処へ来たんだ?」
「察しはつくだろうよ」
「降伏しに来てくれたのかな!?」
「場合によっては、それも考えないわけではないけどな」
「炮炎よ、相変わらずだな。
一体此処を何処だと思ってるんだ!?」
そう言って、露衣土は小さく笑った。
「それがどうかしたのか!?」
炮炎は飄々と返した。
「こちらとしては降伏して貰わん事には、
無事に帰すわけにはいかないんだけどな」
「そうなのか!?」
炮炎は惚けるように言った。
「まぁ、いいさ。取り敢えず、
どうしたら降伏するのか訊いておこう」
「力に依る制圧を止めれば戦う意味は無いさ」
「本当に何も変わってないな。まだそんな事を言うのか」
「まだも何も、争いは争いしか生み出さん」
「私が何の為にこの星を統一したと思ってるんだ!?」
「そんな事、俺が知るわけねぇだろ」
「国家の対立こそが争いの根源だとは思わんか!?」
「確かにその点は一理あるのかもしれん。
しかし、力に依る制圧を続けていれば、
それもまた争いの根源になり得るんだよ」
「では、どうすれば争いを無くす事が出来ると考える?」
「さぁな、自分で考えな」
「話にならんな。平和の為には犠牲も必要だという事が、
まだ、判らないのか」
「判るわけねぇだろ!お前が殺している人間は、
決して平和の為の犠牲なんかじゃない!」
「何を言っても無駄なようだな」
「それはそっちだろうが」
「どうやら降伏する気は無いようだな」
「だから力に依る制圧を止めれば考えるさ」
「誰も反抗しなくなれば、力を使わなくても済むんだよ」
「今更、何言ってやがる。自分で撒いた種じゃねぇか」
「炮炎」
突然一人の男が部屋に入って来て、炮炎に声を掛けた。
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  1. 2016/03/06(日) 04:46:40|
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