風を掬う者(先行版)

人間の愚かさ、そして死をテーマにしたオリジナル小説

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壱章/人斬り/挿話拾参/不敵な男

すでにその男は、
虎三郎の存在に気付いているようである。
こちらを見ながら薄気味悪い笑みを、
浮かべているように虎三郎には見えた。
虎三郎はその男に向かって歩を進め、
剣の間合いの数歩手前で歩を止めた。
「何をしている?」
男に問うた。
「お前にそんな事言う必要はねぇだろ」
不敵な笑みを浮かべたまま、男は答えた。
虎三郎はいつでも剣が抜けるよう用心しながら、
「私は新撰組の隠岐虎三郎である。
そちらの身元も明かして頂きたい。
場合によっては屯所まで同道願いたい」
と、丁寧に述べた。
男は不敵な笑みを表情に残したまま言う。
「新撰組かよ。新撰組ってぇのは、
弱虫集団じゃなかったのか!?」
「なに!?」
「こんな時間に一人で出歩いて、
小便もらしてるんじゃねぇのか」
男は声に出して、虎三郎を嘲るように笑った。
虎三郎は剣を抜き男に向かって構え、声を張り上げた。
「新撰組と私を侮辱する気か!剣を抜け!」
男はそれでも動じずに、
「この俺とやろうっていうのか!?
新撰組は頭も悪ぃのかねぇ」
そう言いながら剣を抜き、無防備に片手で剣を握り、
虎三郎と向き合う形になった。
男にはまだ不敵な笑みが張り付いたままである。
そして数瞬の睨み合いの後、虎三郎が先に動いた。
男に向かって鋭く斬り掛かっていった。
男はなんなく片手で握った剣で虎三郎の剣を受け流し、
体を入れ替えると同時にそのまま虎三郎に剣を振った。
虎三郎は男の剣をかわしたつもりでいたが、
脇腹辺りを羽織と共に皮一枚程斬られていた。
二人は再び向き合い、男が虎三郎に言う。
「ほほう、なかなかやるじゃねぇか」
虎三郎は男を睨みつけたまま無言で応えた。
「冥土の土産に教えてやるよ」
虎三郎は無言のまま、男の言葉を待つ。
「俺の名は、岡田以蔵」
そう言いながら、男は声を上げて笑った。
岡田以蔵、通称、人斬り以蔵である。
すると突然、男の背後に一人の男が現れた。
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  1. 2016/03/03(木) 06:37:29|
  2. 壱章/人斬り
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