風を掬う者(先行版)

人間の愚かさ、そして死をテーマにしたオリジナル小説

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壱章/人斬り/挿話拾/勿体振る男

「どうだ?少しは腕上げたか?」
大柄な男は言った。
黒谷天竜である。
「どうでしょうか、毎日欠かさずに鍛錬はしてますが。
僕が強くなったのかどうかは自分では測りかねます」
相手の男には特にこれといった特徴はなかった。
強いて挙げるなら、端正な顔立ちだというくらいである。
隠岐虎三郎であった。
「そういうもんかもしれねぇな」
「はい」
とある旅籠の一室で二人は向き合って、
お互い思い思いに手酌で酒を飲みながら
言葉を交わしていた。
「で、実はよぅ、」
「なんでしょうか?」
虎三郎は天竜に視線を送った。
「俺は虎次郎を斬った奴を知ってるんだけどな」
「本当ですか?」
虎三郎は身を乗り出して、続けざまに尋ねた。
「誰なんですか?」
「いんや、それは言わんでおくわ」
「なんでですか?教えて下さい。お願いします」
「それよりもよぅ、」
「身内の敵も取れずに武士といえましょうか」
「そうなんだよ、だからよぅ、」
「はい」
「そいつを俺が斬るわけにはいかねぇんじゃねぇかと、」
「僕が必ず敵を取ってみせます」
「本当はよ、どっちも俺が斬りてぇんだけどな」
「僕に敵を討たせて下さい。
そうして頂けるのなら、その後僕が天竜さんに
斬られる事になったとしても、」
「だからよぅ、決めたんだよ」
「何をですか?」
「敵を取るなら勝手にしな」
「そうさせて頂きます」
「俺は虎三郎と奴とで生き残った方を斬る」
天竜は仕方がなさそうにそう言った。
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  1. 2016/03/03(木) 06:32:04|
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