風を掬う者(先行版)

人間の愚かさ、そして死をテーマにしたオリジナル小説

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壱章/人斬り/挿話玖/憤る女

虎次郎の葬儀も無事終わり、
周囲の人々も日常へと戻ろうとしていた。
しかし、数人だけがまだ、
虎次郎の死を受け止められずにいた。
そのうちの一人は隠岐四兄弟の母、
もう一人は虎次郎の許嫁であった、
お園という女子である。
「虎士郎ちゃん、
どうして虎次郎様が死ななければならないの?」
少しの間を置いて虎士郎が応える。
「ごめん。お園ちゃん。
僕がもっとしっかりしていれば、」
「こっちこそごめんなさい。
虎士郎ちゃんも辛いんだよね」
「うちで僕によくしてくれたのは、
母上以外では虎次郎兄さんだけだったから、」
お園は泣き続けている。
「でも、僕は、虎次郎兄さんが羨ましいな」
「なんで?」
「だって、虎次郎兄さんは新撰組にも入隊出来たし、
一応は武士としての道をまっとう出来たと思うんだ」
「武士ってなんなの!?」
「僕なんか、武家に生まれたにも拘わらず、
人を斬る事すら出来ない出来損ないだから」
「だから武士ってなんなの!?
人を斬る事が武士なの!?」
虎士郎は何も言えなかった。
「そんな理由で虎次郎様は死ななければならないの?
ねぇ、答えてよ!」
「お園ちゃん、」
「お願いだから、答えてよ!」
お園は虎士郎に縋り付いていた。
虎士郎は何も言えず、虚空を眺めるしかなかった。
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  1. 2016/03/03(木) 06:30:14|
  2. 壱章/人斬り
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